キャッシュレス化や多様な金融商品が次々に誕生している中、エムアイカードでも、お客さまのニーズに応える新サービスの創出に取り組んでいます。その旗振り役を務めるのが、事業開発部です。今回は、この部署が立ち上がった当初から所属しているOさんに「事業開発部のミッションは?」「どうやって新たなサービスを生み出しているの?」「グループとの協働は?」などを中心に、0から1を生み出す大変さと面白さについて教えてもらいました。
LECTURER
Oさん
事業開発部 事業開発室
2008年に新卒入社。百貨店営業部にてカウンター営業に従事したのち、経営企画部、業務部、営業企画部、グループ外企業への出向も経験。2021年に現部署へ。「仕事とは、事を仕掛けること」をモットーに、自分が主体的に動くことで相手のこころを動かすことを目指している。
事業開発部のミッションは、当社の既存事業であるクレジットカード事業と保険事業の強化と、会社の成長につながる新規事業の開発です。
新規事業の開発といってもかなり幅広いですよね。何か方針はあるのですか?
三越伊勢丹グループの経営戦略で強調されている「個客業への転換」が大きなテーマになっています。簡単に言うと、お客さま一人ひとりに合わせてサービスを提供していこう、というもの。従来、百貨店は幅広い顧客に向けてビジネスを展開してきたのですが、コロナ禍や時代の変化を経て、大きく舵を切ったのです。そこで当社でも、お客さまの細かなニーズに応えうる金融サービスの開発に注力しています。
金融サービスというと、たとえばどんなサービスが考えられますか?
保証やローンはもちろん、世の中のニーズが高まっている資産運用などに関するサービスにも可能性があると思っています。しかし、あくまで目的はお客さまのニーズに応えること。そのため、カード会員の方や百貨店のお客さまを対象にアンケート調査を行い、ニーズを確かめたうえで、三越伊勢丹グループならではのサービス開発を進めています。
では、ここからは「どうやって新しいサービスを生み出しているのか」について解説します。
下図が、大まかなプロセスです。まずはじめるのは、市場調査。当社のもつ膨大な決済データの分析や、お客さまへのヒアリング、アンケートからニーズを掴んだら、世の中のトレンドや他社動向など関連する情報を収集し、サービス化できそうかを検討します。その後、企画を立てて詳細な設計をしていくのですが、ここが難所。どんなサービスにするのか、価格設定や収益性の確保、関係法令や運用におけるリスクの有無など、あらゆる角度から考え、サービスを細かく設計していく必要があるからです。そのため、STEP3~5を幾度となく繰り返すことも。そうして完成したサービスが、晴れてリリースとなります。
これだけでは分かりにくいと思うので、先日リリースした新サービス「ISETAN MITSUKOSHI WATCH GUARANTEE」の事例を紹介します。三越伊勢丹でお買いあげいただいた時計に対して、メーカー保証では対応できないリペアや、オーバーホールなどのメンテナンスをご優待価格で承るサービスです。
「商品保証」に目をつけたのは、三越伊勢丹グループにとって親和性が高く、お客さまへのヒアリングでもニーズが多かったから。しかし、保証サービスは当社にとって初めての試みだったため、関連する法律や契約内容など、0から知識を習得しなければなりません。参画いただく保証会社と連携しながら情報を集め、サービスの大枠をつくっていきました。
プロジェクトとして大々的に動き出したのはその後です。当社の営業やリスク部門はもちろん、百貨店のみなさんも巻き込みながら、サービスの詳細を詰めていきます。なかなか思い通りには進まず、苦戦しましたね。構想から2年半、ようやくリリースへ。きっと、お客さまの安心につながるサービスになったはずです。
事業開発が担うのは、企業の未来をも左右する仕事といっても過言ではありません。そんなミッションの大きさがやりがいにもなっています。また、社内のみならず、三越伊勢丹グループを巻き込んで行うプロジェクト推進も面白さの一つ。
さまざまな意見を取り入れながらプロジェクトを導いていくのは簡単ではありませんが、完遂時には、それまで経験したことのない達成感を得られるはずです。
ゴールに向かって着実にプロジェクトを進めていく実行力はもちろん、新規事業の構想を練るうえで欠かせない情報収集力や分析力、金融サービスにおける幅広い知見が身につきます。また、さまざまな部門や百貨店の方々と協働する中で得られる気づきが、次なる新サービスの芽になることも。あらゆる知識を習得しながら、発想力を磨くことができるでしょう。
今後の目標は、金融商品のラインアップ拡充です。しかし、そこで忘れてはならないのは、ただサービスを増やすことではなく、「お客さまのニーズに応えられているか」。そのため、お客さまの声を聞きながら新たなサービス開発に取り組むこと、既存サービスを育てていくことが大切だと思っています。
また、百貨店の方々と協働して保証サービスの開発に取り組む中で、改めて三越伊勢丹グループが誇る「販売力」という強みを実感しました。この強みを当社のサービスと掛け合わせれば、きっと独自の価値を生み出せるはず。まだまだ「百貨店の金融サービス」は前例が少なく、お客さまへの認知が広まっていない領域だからこそ、挑戦することに意味があると思っています。事業開発部が先頭に立ち、三越伊勢丹グループならではの金融サービスをお客さまに届けていきたいです。
※インタビュー内容、所属は取材当時のものです。