入会審査や限度額の調整といった与信業務は、クレジットカード事業において欠かせないもの。しかし、実際にどう審査しているのかというと、なかなかイメージがつかないのでは?そんな与信業務について教えてくれるのは、業務部 信用管理担当のHさん。今回は、「与信業務ってどんなことをやっているの?」「どんな面白さがあるの?」「エムアイカードだからこその取り組みは?」などについて、深掘りしながらお届けします。
LECTURER
Hさん
業務部 信用管理担当
2017年に新卒入社。1年目にお客さまからのお問い合わせに対応するコールセンター業務を担当したのち、営業企画部に異動。3年にわたってカード会員向けのキャンペーン企画など利用促進に取り組んだ後、2021年に現部署へ。はじめての与信業務に戸惑いながらも経験を重ね、今ではチームリーダーとして若手社員のフォローにも取り組んでいる。
そもそも、「与信」という言葉の意味を知っていますか?それは、「相手に信用を与える」というもの。たとえばクレジットカード会社では、お客さまごとに限度額を設定していますが、これも与信の一つなのです。そんな重要な役割を担っているのが、業務部 信用管理担当。大きく3つのチームに分かれて信用管理を行っています。
カードの入会審査を行う初期与信業務
限度額の審査を行う途上与信業務
加盟店の審査を行う加盟店業務
カード入会時の審査を担当します。お申し込み情報に誤りや記入漏れがないかはもちろん、内容をよく読み込んだり、信用情報機関*の情報とも照らし合わせたりして、虚偽やなりすましによる入会でないことを確認します。
*過去のクレジットカードの支払い履歴や、ローンの契約・借入・返済状況などの情報を管理・提供する機関のこと
入会いただいたお客さまに関して、普段のご利用状況や資金繰りに問題がないかを見極めながら、カードの恒常限度額や、高額なお買物やご旅行、ライフイベントのご予定に合わせて一時的な限度額増額の審査を行います。貸倒れリスクに注意しながらも、できるだけ高く限度額を設定することで、お客さまの経済活動を支えることにもつながります。
クレジットカードのビジネスモデルには、カードをご利用いただけるお店、つまり加盟店の存在も重要です。さまざまな加盟店でカードを安心・安全に使っていただくために、加盟店の審査や調査も行っています。
カード入会時の虚偽やなりすましを見抜くのも、与信業務の一環なのですね。実際にどうやって見抜いているのですか?
詳しくは教えられないのですが、申込書だけを見て判断するのではなく、さまざまな情報を照らし合わせながら違和感がないかを確認しています。また、定期的に他のカード会社さんと情報共有をする機会も。私たちが不正を見抜けないと、まったく関係のない方のもとに請求が届いてしまう可能性がありますし、会社としても回収できなくなってしまうリスクがあるため、慎重に確認しています。
また、途上与信ではお客さまごとに限度額を設定しているとのことですが、「適正かどうか」ってどう判断しているのですか?
まさにそこが与信業務の難しいところ。お客さまごとに状況が異なるため、その都度、利用状況や勤務先の情報などをもとに判断しています。判断を誤ると貸倒れにつながってしまう恐れもありますので、責任の大きさを日々感じていますね。
与信業務はクレジットカード事業における根幹となる業務ですが、そのなかでもエムアイカードらしさを感じるシーンはありますか?
やはり当グループが抱えているお客さまは、優良なお客さまが多いと感じます。日常的なご利用はもちろんですが、例えば百貨店でのお買物や、ご旅行、贈り物、冠婚葬祭といったライフイベントなど、高額なご利用を控えている場合もありますので、情報収集を念入り行ったうえでの与信判断が重要です。同時に、三越伊勢丹グループや当社カードをご愛顧いただけているのだなという実感も強く感じます。
自分の判断次第で、お客さまの経済活動のお役に立てること、そして会社の利益に貢献できるというのは大きなやりがいです。もちろん、そんなふうに適正な判断ができるようになるには、経験を重ねる必要がありますが、一つひとつ件数をこなしながら知見を吸収し、自分で判断できるように成長していけるのも醍醐味です。
私も当初は一人で判断するのが難しく、毎回先輩に聞いていましたが、自分なりに根拠を持って判断できるようになった時、この仕事の面白さを感じましたね。
お客さまの属性情報や利用状況、信用情報機関の情報などを総合的に見るため、クレジットカードの利用動向を深く理解できます。また、入会審査や、お客さまの状況に合わせて限度額を設定する中で、鋭い洞察力や判断力も養われるでしょう。私は以前、営業企画部で利用促進に取り組んでいたのですが、与信業務を経験し、クレジットカードの利用についてより多角的に捉えられるように。ここで得た新たな視点は、次のキャリアでも活きるはずです。
ここまでの説明だと、「審査ばっかりしている部署なの?」と思われるかもしれませんが、そうではありません。最近の取り組みとして、申し込みフォームの刷新プロジェクトについてもご紹介します。
当社のクレジットカードは、百貨店の店内でご入会いただくことが多いのですが、その際に「面倒だな」「大変そうだな」と思われてしまうと入会にはつながりません。そこで目をつけたのが、申し込みフォームです。UIデザインはもちろん、項目数も見直し、お客さまにとってもっと手軽で使いやすいフォームを目指すことになったのです。
営業部やシステム部を巻き込んで進めていく中、与信業務を担う私たちにとって大きな壁となったのが、入力項目の削減です。お客さまにとっての手軽さを考えれば、入力項目はなるべく減らしたい。けれど、入会審査においては、項目はあればあるほど判断材料が増えるため、何度も議論しながら、項目の精査を行いました。
格段に見やすく、入力しやすくなったと思います。これによって、お客さまの利便性が向上するだけでなく、忙しい百貨店で入会をおすすめしてくださるショップスタッフの方々の負荷軽減にもつながるはずです。
不正を見抜き、リスクを防ぐ。これまでの与信業務は、守りの側面が強い仕事でした。しかし、お客さまのニーズが多様化し、次々に不正利用などの問題が出現する今となっては、それだけではいけないと考えています。たとえば、現状、入会審査や限度額の設定は特定のルールに基づき、システムによる自動判定を行っています。但し、ルール内で対応しきれない細かな調整は手動での対応が必要です。これらを、AIなど新たなツールを活用し瞬時に判断できるようになれば、お客さまの利用状況にタイムリーに対応できますし、リスクを察知し抑止できる仕組みがあれば、貸倒れも防げるかもしれません。
さらに、営業部門ともっと連携し、利用促進につながるキャンペーンなどに力を入れていくことで、利益の創出にも貢献できるはずです。与信業務だからといって守りに入るのではなく、攻めの姿勢で社会全体を捉えながら、当社のビジネスの根幹を支えていきたいと思っています。
※インタビュー内容、所属は取材当時のものです。