ファンに寄り添う
愛ある提携カードに。

講談社
エムアイカード

その手で、こぎだせ。

「化物語」「偽物語」といった人気作品を次々と生み出している西尾維新氏による小説シリーズ「〈物語〉シリーズ」。アニメやゲームもヒットし、コアなファンが多いことでも有名だ。エムアイカードでは、この「〈物語〉シリーズ」に着目し、自ら提携カードの発行を持ちかけ、実現に向けて奔走した若手社員がいる。今回は、その若手社員の当時の様子を振り返りながら、エムアイカードにおける仕事の醍醐味や若手が活躍できる風土を伝えていく。

これまでアプローチしたことのない層に着目。

このプロジェクトが動き出したのは2018年の秋。一人の若手社員の熱い思いからスタートした。その社員は当時、法人営業チームに所属し、“エムアイカードの提携カードを増やす”というミッションのもと、提携先を探し、交渉する日々を送っていた。「エムアイカードといえば、比較的富裕層の40代〜60代の女性会員が多く、百貨店でのお買物の際にご利用いただくことが多いカードという存在でした。そこで、新しい提携カードのターゲットとして、そこから遠い領域を攻めるのが良いのではないかと考えたのです」と若手社員は当時のことを振り返る。そして、彼が新たに導き出したのが、20歳前後〜30代の男性で、お買物も娯楽もオンラインが主流の人たち。さらにデータを抽出してみると、アニメファンの消費行動に可能性を見出すことができた。ただ、周囲の先輩たちからは「その層は、エムアイカードにそぐわないのでは」と疑問を呈されてしまう。しかし、彼はその程度のことではあきらめなかった。「それは裏を返せば、これまで自分たちがアプローチできていない層だということ。自信を深めましたね」と語り、彼は社内を説得するためのデータ集めに奔走することになった。

入社2年目にして、経営会議の場で提案。

その若手社員は、他社の事例やDVD、グッズの売り上げ実績などを挙げながら、アニメ業界がいかにアタックする価値があるかということを上司に伝えていった。中でも、「〈物語〉シリーズ」は熱狂的なファンが多いにも関わらず、これまでに他社と提携カードを発行していない事実を発見。彼は驚いたと同時に、この出会いに運命を感じたという。そして、入社2年目ながら経営会議で提案する場を用意してもらい、経営層に直談判した。さらに並行して、「〈物語〉シリーズ」のライセンスを管理する講談社への働きかけもスタート。何度も打ち合わせを重ね、ついに双方の合意を取り付けることに成功したのだ。

前例のない挑戦。関係各社と調整の日々。

彼が、今回のプロジェクトで最も心がけたのは「作品とファンを守る」ということ。講談社の担当者も、その点を最も懸念していた。「作品を傷つけることはもちろんしませんし、提携カードを通じてファンの方々に感謝の気持ちをさまざまな形で還元することができます」と彼はエムアイカードと提携するメリットを伝え、細心の注意を払いながら交渉を進めた。一方で、このプロジェクトはエムアイカードにとっても前例のない挑戦だった。すべてが手探り。加えて、大変だったのは、関係各社との膨大な確認・調整の数々。提携先の企業だけでなく、Visaとの契約内容の確認や、印刷会社との調整なども必要だった。一枚の提携カードを世の中に送り出すために、どれほどたくさんの人や組織が関わっているのか。入社2年目にして、彼は産みの苦しみを肌身で感じることができた。

ファンのことを第一に考え、プロモーションを設計。

ただ、大変さの一方で、喜びも多いプロジェクトだったと彼は言う。「この提携カードの券面のためだけに描き下ろされたイラストも完成。そのイラストを見たときには、自分も作品の一ファンとして感動しましたね」。また、プロモーションの一環で、〈物語〉シリーズのゲームともコラボレーションをしたときは、「普段、自分がユーザーとして楽しんでいるゲームに、仕掛ける側で携われたことは、非常にうれしい経験でした」と語ってくれた。社内にいる、〈物語〉シリーズのファンとも頻繁に意見交換したそうだ。ファンが心から喜ぶ特典は何か、どんな情報をどのタイミングで提供したらみんなで盛り上がることができるか。綿密にプロモーションを設計していった。

ファンを喜ばせる先に、エムアイカードの未来がある。

コアなファンにとって、好きなアニメのクレジットカードが発行されるというのはかなり大きなニュースだ。いつも財布の中に入れておき、グッズを買うときにも利用でき、さらにポイントを活用して限定グッズも手に入る。日常生活の中にも、作品との接点が生まれることになる。だからこそ、ファンから「わかってるなあ」と思っていただけるカードにすること。ファンの心をくすぐるアイデアを散りばめた企画にすることが重要だった。当然、実際のビジネスとして考えたときには、予算や納期の問題もあり、実現する上で難しいこともままある。しかし、彼はファンとともに思い描く理想に少しでも近づけられれば、結果的に「エムアイカード、わかってるなあ!」につながり、当社のブランディングにも寄与すると信じていた。

年次に関係なく、新しいことに挑戦できる風土。

ただ、「〈物語〉シリーズ」の提携カードの発行は決してゴールではない。ファンと一緒にどう育てていくことができるか。さまざまな施策を用意し、愛ある提携カードに成長させていくことができるか。さらに、このプロジェクトが成功したら、今回のケースをモデルに次はまた新しい領域の提携先との挑戦もしやすくなる。彼自身も「例えば女性向けコンテンツや地下アイドルといった領域に飛び込むのも面白いかもしれません。働くならやっぱり、自分の好きなことや楽しいことを仕事にしたいですし、つまらないなら、楽しくなるようにしたいですからね」と目標を語ってくれた。年次を問わずチャレンジできる環境は、今後も彼のような新しい発想と行動力を持ち、エムアイカードに新しい風を起こしてくれる社員を生み出していくだろう。

※所属部署やインタビュー内容は取材当時のものです。